今回は、スポーツ刈りに関しての記事です。
お客様から
「スポーツ刈りにして」と言われて
なんとなく切っているものの、これでいいのかどうかどうか、
わからないままカットしている
ということはありませんか?
記事をご覧いただきありがとうございます。日本カットアカデミーの黒川です。
私はカットスクールを20年運営しています。
毎年200人以上の美容師さんや理容師さんにカットを教え続けています。
その中で、スポーツ刈りに関しては、トップや前髪の切り方や形がわからないので教えて欲しい、という美容師さんが多いです。
最近は、低料金の業務委託のサロンで働く美容師さんが増えています。
低料金のサロンだと、女性だけではなく半数は男性のお客様がご来店されるという所もあるでしょう。
そのため、業務委託のサロンで働きだすと、今まで担当してこなかった理容のヘアスタイルを求められることもあるかと思います。
そんな中、たまに
「スポーツ刈りにして」とお客様に言われて、
何が完成形なのかもわからず、毎回、悪戦苦闘しながら、試行錯誤してカットしているという方もいるかと思います。
そこで、
今回はスポーツ刈りの形やデザインがわかり、そしてその切り方もわかるように図解で記事 にまとめました。
理容院や組合でもカットを教えている経験から、記事を見るだけでわかるようにまとめています。
さらに、切り方がわかるだけでなく、実践で使えるレベルで技術習得ができるように、
スポーツ刈りに関して次の2つ事も知ることができます。
①正しく切れているかどうかのチェック方法
②上達するための練習の方法
これらのことから、実践で使えるレベルでの技術習得が可能 になります。
そして、スポーツ刈りがよくわからず悪戦苦闘しながらカットすることから脱出して、
自信を持ってイキイキと仕事をすることが可能 になります。
この機会にあなたの仕事の幅が広がり活躍の機会が増えることを願っています。
目次
1. そもそもスポーツ刈りとはどんなスタイルなのか?
この章では、次の2つ観点からスポーツ刈りとはどんなスタイルなのかを理解していきます。
- スポーツ刈りの定義
- スポーツ刈りのバランス
スポーツ刈りの定義
日本カットアカデミーのスポーツ刈りの定義は下記になります。
スポーツ刈りとは
前髪を少し長めに残した刈上げスタイル。TPの長さと、TMPの長さのバランスが同じスタイル。
定義に沿ったスポーツ刈りは、下記の画像のスタイルになります。
具体的に見てみましょう。
定義の「TPの長さと、TMPの長さのバランスが同じスタイル」というのは、
下記の画像のようにTPの長さとTMPの高さの髪の長さがおおよそ同じ長さのバランスということを指します。
TP・・・トップポイント。頭の頭頂部。
TMP・・・テンプルポイント。目尻の外側とフェイスラインがクロスするポイント。
例えばこのバランスについて、
下記の図のようにTMPよりTPの長さが長いスタイルがあるとします。
このバランスのスタイルをソフトモヒカンと言います。
刈上げスタイルは、これらのTPとTMPの長さのバランス、前髪の長さのバランスでスタイルが変わります。
そのため、スポーツ刈りの定義をしっかり覚えておきましょう。
スポーツ刈りのバランス
スポーツ刈りのバランスは下記のようになります。
バランスの特徴は次の3つです。
特徴①TMPのラインまでは直線
特徴②トップの部分は丸みでつながっている
特徴③前髪はトップより長く残っている
詳しく見ていきましょう。
特徴①TMPのラインまでは直線
TMPのラインとは、
サイドは床平行のライン、バックは78.75度後ろ下がりのラインを指します。
EP・・・イヤーポイント。耳の後ろの付け根。
78.75度という角度は、90度と67.5度(45度と90度の間の角度)の間の角度になります。
このTMPラインまでを直線のラインになるように刈り上げます。
そして、この後ろ下がりの角度によって横から見たときの刈上げの幅が決まります。
例えば、45度のように低いと刈上げ幅が狭くなります。そのラインまでを刈り上げるからです。
スポーツ刈りのバランスは78.75度後ろ下がりのバランスになります。刈上げの幅が広いスタイルとなります。
特徴②トップの部分は丸みでつながっている
TMPのラインから上のトップのエリアは丸みでつなぐようにします。
特徴③前髪はTPより長く残っている
TPより前髪が長いのがスポーツ刈りの特徴です。TPから長い前髪にかけてつないでいきます。
前髪の仕上がりのラインについては、下記のQ&Aの記事を参考にしてください。
では、スポーツ刈りの定義とバランスを理解したところで、次の章から具体的な切り方と手順を見ていきましょう。
2. スポーツ刈りの切り方と5つの手順
今回は、上の写真のスポーツ刈りの切り方と5つの手順を解説していきます。
手順① ガイドラインを設定する
「ここまで刈り上げますよ」という目安になるガイドラインを設定します。
今回のガイドラインの長さは1.5cmで設定します。スタイルに応じて、これより短くしたり、長くしてもかまいません。
手順①の切り方は次の2ステップ
ステップ①
サイドは床平行、バックは78.75度後ろ下がりのブロッキングをとる。
ステップ②
ブロッキング下、約1.5cm縦幅の髪の毛が1.5cmの長さになるように、角度は90度でカットする。
手順② ①のガイドラインまで刈り上げる
下記のように、バリカンで①のガイドラインまで一気に刈り上げます。
ガイドラインを決めて、そこまで刈り上げることで次の2つのメリットがあります。
メリット①
左右対称のフォルムになる
メリット②
刃を付け替えて何度も刈り上げなくて済むので時短になる
必ず、次の2つのポイントを注意して刈ってください。
ポイント①
①のガイドラインを誤って切らない。ガイドラインをしっかり見ながら刈る。
ポイント②
刈上げのラインは、刈り上げはじめの箇所から、ガイドラインまでが直線になるように刈る。
横からラインを確認しながら刈り、ラインがえぐれたり、丸くならないように注意する。
バリカンの刃の長さについて
バリカンの刃の長さは0.4㎜~5,6㎜で設定します。
刃の長さで刈り上げはじめの一番短い長さが決まります。
刈り上げはじめの髪の長さを長めにしたい場合は、5.6mmの刃で刈り上げるといいでしょう。
刈り上げはじめの髪の長さを短くしたい場合は、0.4mm~2mmの刃で刈り上げるといいでしょう。
今回は、0.5mmの刃で①のガイドラインまでを刈り上げています。
手順③ 前髪をカットする
前髪はTMPのガイドラインより長めのバランスで設定します。今回は3cmで設定します。
下記の図の真ん中の赤色の箇所が3cmになるようにします。横幅は目尻で縦幅は約2cmで、顔の正面に引き出してスクエアにカットします。
角度は90度でカットします。
手順④ モヒカンガイドをカットする
モヒカンガイドを設定します。モヒカンガイドとは、前髪からRPまでの箇所を言います。横幅は約2~3cmです。
RP(ルーツポイント)とは下記のポイントです。後ろの髪の表面の根元のポイントを言います。
今回の設定としては、RP、TPの長さは1cmです。
RP,TPとカットして、そのまま前髪の生え際から1.5cm後ろの髪とTPはつなぐようにカットします。
前髪の1.5cm分は段を入れないようにします。理由は、前髪のきわまでつなぐと、段差が入りすぎて、前髪が薄くなるからです。
そのため、生え際から1.5cmの前髪は、段を今以上につけないように残しておきます。
モヒカンガイドを後ろや正面から見るとコンケーブ(えぐれる)ができます。
理由は、モヒカンガイドを切るときに、真ん中に寄せ集めてカットしているからです。
寄せ集めてカットすると、上の図のように、真ん中が短くて両サイドの髪の長さが長く残ります。
このコンケーブは、次の手順⑤のコーナーチェクで整えます。
手順⑤ モヒカンガイドとTMPラインをつなぐ
モヒカンガイドが切れましたら、モヒカンガイドと、手順①のTMPガイドラインとをつなぎます。
まず、下記のようにイヤーツイヤーのラインとフェイスラインの2分の1で分けます。
バックの青いセクションは、すくい刈りでつないでいきます。バックはRPに向けてつなぎます。
サイドはモヒカンガイドに向けてつなぎます。
フロントの赤いセクションは縦スライスをとって指間切りでつなぎます。
前髪を含む最後のスライスは、1スライス後ろの箇所まで角度を後ろに引いてカットします。
なぜかというと、後ろに引くことで、前髪が落ちます。そのことで、手順③で作った前髪の長さを切り込まないようにするためです。
コーナーチェック
モヒカンガイドとTMPラインをつなぎましたら、最後にコーナーチェックをしましょう。
モヒカンガイドとTMPラインをつないだ境目にコーナーという角ができます。
この角を5㎜の深さで角を落とします。
角を落としたことでできる上下の角もあれば丸みに沿うように角を落とします。
角はすくい刈りや、直ばさみで落とします。
角を落としたら完成です。
3.正しく切れているかどうかの6つのチェック方法
手順にそってカットしてみたら、次の6つのチェックをして下さい。
6つのチェック項目ができていれば、スポーツ刈りができているということになります。
【チェック1】 刈上げのラインが直線になっている
正面と真横から刈上げのラインを見て直線のラインかどうかを確認しましょう。
両サイドとバックの刈上げラインが〇の写真の様に直線であれば良いです。
×のように丸みになっていたり、えぐれているのはNGです。
【チェック2】 左右の刈上げ他ラインの角度が左右対処である
正面から見たときに刈り上げたラインが左右対称かどうかを確認しましょう。
【チェック3】もみ上げからネープのアウトラインの長さがそろっていて左右合っている
両サイドのアウトラインと、真後ろから見たときのアウトラインが左右対称にそろっているかどうかを確認しましょう。
【チェック4】前髪が正面に対してスクエアにカットできている
前髪のカットラインを確認しましょう。
図のように、前髪が正面に対してスクエアにカットできているかどうかをチェックします。
正しく切れていると、写真の〇のように、頭の自然な丸みの影響を受けて、下すと自然な丸みのある前髪になります。
スクエアに切れていない、または、手順⑤で前髪を誤ってカットしてしまうと、写真の×のようにこめかみ付近の髪がえぐれてしまいます。
【チェック5】モヒカンとTMP下のガイドラインがつながっている
上の写真の〇のように、モヒカンガイドからしっかりつながっているかどうかを確認します。
そして、上の2つの写真の〇のように、TMP下のガイドラインからしっかりつながっているかどうかも確認しましょう。
トップの髪がかぶさっていて、つながっていない場合はつなぎ直しましょう。
【チェック6】TMPガイドとモヒカンガイドの各コーナーチェックができていて、左右対称な自然な丸みがでている
TMPライン上とモヒカンガイドの角が無くて、左右対称な自然な丸みになっているかどうかを確認しましょう。
4.スポーツ刈りをマスターするための練習方法
スポーツ刈りをマスターするには、次の回数を目安に練習をしてください。
初心者~アシスタント
20回通り
スタイリスト
6回通り
なぜ、この回数かというと、今まで20年間カットを指導してきた経験から、上記の回数通り練習すると8割の方ができるようになっているからです。
マスターの目安として、毎回切り終わった後に、6つのチェック項目ができていることと、カットタイムが20分で切れていたら良いです。
5.スポーツ刈りに自信をつけるために・・・
スポーツ刈りに自信をつけるために、マンツーマンの個人レッスンを行うことをお勧めします。
実際に教えるプロに直接チェックしてもらったり、指導してもらうことでより確実に技術を習得することができるからです。
個人レッスンは、日本カットアカデミーのレッスンをお勧めします。
お勧めの理由は次の3つです。
理由① オンラインで個人レッスンを行っているのは国内で日本カットアカデミーだけ。
理由② 年間200名以上の理美容師さんに教える実績のある教えるプロからわかりやすく学べるから。
理由③ 1回20分からオンラインで気軽に受けることができるから。
詳細は下記よりご確認ください。
6.まとめ
今回はスポーツ刈りの形やデザインがわかり、そしてその切り方もわかるように図解と動画の記事 にまとめました。
切り方がわかるだけでなく、技術習得ができるように、正しく切れているかどうかのチェック方法と、上達するための練習方法もご紹介しました。
この記事を参考に、あなたが実践を行い、技術習得をして、自信を持ってイキイキと仕事をすることを願っています。
今回の記事の実技動画
今回の記事を動画にまとめています。実際にカットしていますのでご参考にしてください。
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